types of dementia認知症の種類について

Dementia rate

認知症の割合

出典:「 認知症初期集中支援チームに必要な若年性認知症の知識」(国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター)

Characteristics and symptoms

認知症には主に4つの種類が存在し、「アルツハイマー型認知症」「血管性認知症」「レビー小体型認知症」「前頭側頭型認知症」のそれぞれによって発症する原因や症状、その後の経過も異なります。またこれら4つの認知症は、認知症患者全体の90%以上を占めています。

アルツハイマー型認知症 血管性認知症 レビー小体型認知症 前頭側頭型認知症
原因 アミロイドβの蓄積による 脳細胞の破壊

脳梗塞・脳出血などの脳卒中により血流が滞ることで脳細胞が破壊

レビー小体の蓄積による脳細胞の破壊 詳しい原因は不明
脳の変化 短期記憶をつかさどる海馬を中心に、脳全体の萎縮 脳卒中を起こした部位のみ血流が低下 後頭葉への血流低下 前頭葉・側頭葉の萎縮
初期症状 もの忘れ 脳卒中を起こす部位により異なる 幻視・幻聴 社会のルールに反する行動
特徴的な症状 見当識障害判断力・理解力の低下 ・失語・失認・失行 記憶障害・運動障害・意欲低下感情のコントロールが効かなくなるなど パーキンソン症状・幻覚・幻聴・レム睡眠行動異常症・自律神経症状 怒りっぽくなる
我慢がきかなくなる
同じパターンの行動を
繰り返す・意欲低下など
経過・進行 緩やかなカーブを描くように進行 脳卒中を繰り返すたびに段階的に進行 調子の良いときと悪いときを行き来しながら進行 進行するにつれて意欲低下が顕著になり、症状が目立ちにくくなる

これらを1つずつ説明していきます。

1.アルツハイマー型認知症

認知症の中で最も多く、約60%~70%を占めます。

アルツハイマー型認知症を発症するきっかけは、アミロイドβやタウタンパクというたんぱく質が脳に異常に溜まることです。
脳に溜まったたんぱく質が、脳神経の変性を引き起こすことで、脳のなかでも記憶に関わる海馬という器官から萎縮が始まり、徐々に脳全体にひろがっていきます。

アルツハイマー型認知症は、65歳以前に発症したものを「早発性」、65歳以上で発症したものを「晩発性」に分類され、アルツハイマー型の多くは「晩発性」とされています。 患者の男女比でみると、男性よりも女性の方が多くなっています。

アルツハイマー型認知症の特徴

記憶障害 初期段階では、短期記憶が失われることが多く見られます。
例えば、最近の出来事や会話内容を忘れることが増えます。
見当識障害 時間や場所の感覚が混乱し、日にちや季節、場所を間違えることがあります。
判断力や思考力の低下 日常の簡単な計画や判断が難しくなります。
例えば、買い物の際にお釣りの計算ができなくなるなどの症状があります。
人格変化 行動や感情の変化が見られ、不安感や攻撃性が増すことがあります。

2.血管性認知症

認知症の約20%を占めます。

血管性認知症は、脳血管障害(脳卒中)によって起こる認知症のことをいいます。脳卒中には、脳血管が詰まって起こる脳梗塞や、脳血管が破綻して生じる脳出血などがあります。 脳の認知機能を司る部分(前頭葉、頭頂葉、側頭葉、後頭葉、海馬など)で血管が詰まり、十分に酸素や栄養を届けられなくなることで細胞が死滅します。その結果脳は本来の役割を担えなくなり、血管性認知症を発症します。

また、血管性認知症はアルツハイマー型認知症と同時に発症することも多く、そのケースは「混合型認知症」と呼ばれています。

血管性認知症の特徴

記憶力低下 短期記憶よりも長期記憶に影響が出やすいです。
歩行障害 歩行が不安定になり、転倒しやすくなることがあります。
感情の変化 感情が不安定になり、すぐに泣き出したり、怒りだしたりする「感情失禁」や、うつ状態、意欲の低下が見られることがあります。
局所的な症状 脳の特定部位が損傷されるため、言語障害や視覚障害、嚥下障害などが現

血管性認知症の原因となる脳血管障害は脳のさまざまな部位に起こるので、現れる症状もさまざまです。障害のある部位とない部位が“まだら状”に分布するため、記憶障害が目立つものの判断力や専門知識は保たれるなどの状態となり、「まだら認知症」とも呼ばれています。

主な症状として歩行障害が現れている場合は、歩行中に転倒して怪我を負い、寝たきりになることで一気に症状が進むケースもあるため注意が必要です。
また、血管性認知症の経過は他の認知症とは異なり、症状が段階的に進むことも特徴の一つです。脳卒中を起こしたときに症状が一気に悪化し、その後は一時的な改善がみられる場合もありますが、再度脳卒中を発症すると症状が一段と進行します。

3.レビー小体型認知症

認知症の約10%~15%を占めます。
レビー小体型認知症は、脳に「レビー小体」と呼ばれる異常なたんぱく質が蓄積し、脳の神経細胞が損傷を受けることで発症する認知症です。

レビー小体型認知症の特徴

幻視 認知症といえば物忘れや理解力の低下をイメージされると思いますが、レビー小体型認知症には現実にはないものが見えてしまう「幻視」という症状があります。
注意力の変動 注意力や覚醒度が日によって大きく変動します。
運動機能障害 パーキンソン病のような手足の震えや筋肉のこわばりが見られ、睡眠中に激しく手足を動かして怪我をしてしまうケースもあります。
自律神経症状 起立性低血圧や便秘など、自律神経の症状が現れることがあります。

レビー小体型認知症は男性の発症率が高く、女性の約2倍とも言われています。
また、レビー小体型認知症の場合、他の認知症のような脳の萎縮が見られないことも特徴です。

レビー小体がたくさん集まる場所では神経細胞が破壊され、命令がうまく伝達されなくなります。
特に、後頭葉と呼ばれる視覚を司る部位にレビー小体が集中して発症すると幻視の症状が出ます。
発症初期から「知らない人がいる」「虫が這っている」「子どもが枕元に座っている」など、実際には見えないものが生々しく見えたり、「(人形が)女の子にみえる」「(ふとんや洋服が)ひとや動物にみえる」など、別のものと見間違える錯視が見られる場合にはレビー小体型認知症を疑います。

また、これらの視覚性の認知障害は特に夜間に現れやすいのが特徴です。

4.前頭側頭型認知症

前頭側頭型認知症は、「人格・社会性・言語」をつかさどる脳の前頭葉と「感情・記憶」をつかさどる側頭葉が何らかの原因で萎縮することで発症する認知症です。

アルツハイマー型認知症と比べると症例が少なく、もの忘れなどの記憶障害が目立ちにくいことから、精神疾患などの別の病気と診断されることもあります。 認知症の中で唯一国の指定難病に指定されており、行動や人格が大きく変化することが特徴です。

前頭側頭型認知症の特徴

人格変化 初期段階から顕著に見られる症状で、万引きのような軽犯罪を起こす、身だしなみに無頓着になるなど社会性が欠如した行動や感情の制御が困難になることがあります。理性・人格をつかさどる前頭葉の働きが低下するので、「融通が利かなくなる」「頑固になる」という状態になる場合も見られます。
言語障害 言葉が出てこない、言葉の意味が理解できないなどの症状が見られます。
行動障害 衝動的な行動や同じタイミングで何度も同じ行動を繰り返す「常同行動」が現れることがあります

また、ほかの認知症と比べて発症する年齢が若く、50代?60代で発症する場合が多いです。
加齢による性格の変化と勘違いされることもあり、体力があり元気な年代なので周囲の介護者に暴力を振るう危険性がある点に注意が必要です。

しかし前頭側頭型認知症が進行するにつれて、徐々に異常な行動や性格の変化はおさまり、次第に意欲の低下が顕著になっていきます。
何事にも無気力・無関心になり、寝たきりになるといった場合もあります。

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